本「完全教祖マニュアル」

ぼくは時代を経て検証された伝統というものを重要視しているので、新興宗教には興味がないけれど、「完全教祖マニュアル」読んでみた。
このタイトルに、眉をひそめるような内容なのかもしれないけど、とても笑える。
しかし、宗教についての重要な側面を明確に示しているという意味では、中身の薄い宗教についての概論の本などよりもよほど価値があるように思う。
その側面としてぼくの印象に残ったことは以下の二つ。
・宗教の社会性(始まりは反社会的な思想で、広まってくると社会への迎合が前面に出てくる)。
この宗教の二重の社会性が、宗教が分かりにくいものになっているように思う。
・義務と信仰。
ここにも二重の意味での信仰がある。それはあらゆる意味での対価を前提とした信仰か、なにも前提としない、それは疑いという概念をも超えた信仰かどうか。
しかしながら、やはりこれらは宗教のある一面に過ぎないということはもう一度言っておきたい。
その一面とは、人々の求めに応じてつくられるものだということ。それは宗教として運営する上では重要だが、宗教が内在する(適当な言葉が見つからないが)宗教であるがゆえにその本来の意義が成り立たないような、矛盾を示している。
そもそも宗教という言葉は意味が広いので、ぼく自身きちんと理解できてないのだろう。だから、表現するのも難しい。